バイオ医薬品トピックス

2016年04月13日

糖タンパク質医薬品、及び細胞・組織中の糖タンパク質の糖鎖解析

川崎ナナ

公立大学法人横浜市立大学 生命医科学研究科 プロテオーム科学研究室
川崎ナナ

1986年 北海道大学薬学研究科修士課程修了
1986年 国立医薬品食品衛生研究所生物薬品部研究員
1996年 Johns Hopkins University客員研究員
2010年 国立医薬品食品衛生研究所生物薬品部長
2016年 現職
厚生労働省薬事・食品衛生審議会部会委員、PMDA専門委員、WHOバイオアドバイザー

研究概要

多くのタンパク質が糖鎖修飾を受けています。糖鎖は、タンパク質の機能や体内動態、高次構造形成などに関与しています。また、糖鎖の構造や分布は、様々な生命現象や疾患に関連して変動することが知られています。現在、多くの糖タンパク質が、医薬品や腫瘍マーカーなどとして、臨床の場で利用されています。

糖鎖には、Asn残基に結合するN結合型糖鎖と、SerやThr残基に結合するO結合型糖鎖があります。通常、一つの糖鎖結合部位に付加している糖鎖には、多様性が存在します(ミクロ不均一性)。どのタンパク質の、どのアミノ酸残基に、どのような糖鎖が、どのような割合で結合しているかを明らかにすることは重要です。しかし、それらを短時間で明らかにすることができる万能法は存在しません。私たちは、主にLC/MSを用いて、様々な糖タンパク質の糖鎖の構造を解析する技術の開発と、それらを用いた糖タンパク質医薬品、及び、細胞や組織中の糖鎖の解析を行っています。

糖タンパク質医薬品の糖鎖解析

現在、100品目を超えるバイオ医薬品が承認されており、その半数以上は糖タンパク質です。糖タンパク質医薬品の糖鎖は、製造条件(細胞密度、培地組成など)の変更によって変化し、結果として有効性や安全性に影響することが知られています。糖鎖構造を最適化し、ライフサイクル全般を通して最適化された糖鎖を確保することが重要です。

私たちは、AMED革新的バイオ医薬品創出基盤技術開発事業の中で、横浜バイオ医薬品研究センターの方々と、糖タンパク質バイオ医薬品の糖鎖を最適化し、管理するためのシステム開発に取り組んでいます(写真1)。

写真1 AMEDプロジェクトメンバー(木原財団、横浜バイオリサーチアンドサプライ社、横浜市大プロテオーム科学研究室) YBIRD内で撮影

細胞や組織中の糖タンパク質の糖鎖解析

多くの腫瘍マーカーや幹細胞分化マーカーの本質が糖鎖であるように、糖鎖は、癌、自己免疫疾患、分化・再生などと密接な関係があることが知られています。しかし、これまでタンパク質ごとに、また、結合部位ごとに糖鎖の構造を明らかにすることが困難であったため、分子マーカーとして利用されている糖鎖はごく一部に過ぎないと考えられています。
私たちは、横浜市立大学先端医科学研究センターのプロテオーム解析センターや、バイオバンク、及び医学部、付属病院診療科と共同で、がん関連糖タンパク質や、再生医療等製品の品質管理に資する糖タンパク質の探索などに取り組もうとしています。

研究室

横浜市鶴見区末広町1-7-29
鶴見キャンパス生命医科学研究科 5階 プロテオーム科学研究室(4月以降)
教授、准教授、助教、特任助教2名、秘書 M2 1名、M1 5名、4年生5名 
社会人大学院生(博士課程後期)を募集しています。
詳細はメールにてお問合せください。

nanaATyokohama-cu.ac.jp

横浜市金沢区福浦3-9
先端医科学研究センター プロテオーム解析センター

鶴見キャンパス研究室前で撮影